この頃の母は、相当に精神状態が悪かったのだろう。
衝撃的な出来事のひとつに、母の裸おどりがある。
ある日の昼間、私たち姉妹の前で突然に鼻歌混じりで陽気に服を脱ぎだし、ついには丸裸になった母は両手を上にかざして踊りながら裸足で外へ飛び出していった。
「やめとき、あかん、あかん」と必死で止めようと腕を引っ張るが、大人の力にはかなわず振り払われてしまう。姉はすでに泣いており、私も泣きたい気持ちで一杯になりながら腕にしがみつく。
片手に服を持って縺れ合いながら県道に出て500mほどいったとき、ようやく近所のおじさんの目に留まった。
事情を察知してくれてか、走って来てくれて窮地を救ってくれた。
強引に引っ張って家に連れ帰ってくれ、私たちはホッして後ろをついていった。
日差しの眩しい昼であったことと、道路のアスファルトが暑かったことが印象に残っている。
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