田んぼ仕事を夫婦がしている。
わたしは、夫婦の娘で2つ程下の女の子とふたりで田の畔で遊んでいた。
田の畔は草で覆われ、そこにある水路(川)も土と背丈くらいの草で埋もれていた。
草花を取ろうとしてだったか、私の目の前でズルズルという音と共に、女の子は川の中にハマっていった。赤い長靴が一回転、二回転しながら私の名前をボコボコと呼ぶ。
衝動的に手を伸ばしただろうが届かないし、掴めない。
何とかしなくちゃ、何とかしなくちゃ、動揺しながら必死で「おっちゃん、おばちゃん、○○ちゃんが川にはまらはった、、、」と遠くで作業をしている夫婦に向かって叫びながら走っていった。
ようやく声が聞こえた夫婦が血相を変えてこちらへ走ってくる。
おっちゃんが女の子の名前を叫びながら、川の中でもがく女の子を救いだした。
女の子はむせながら泥を吐き出して泣いたので、助かったのだと理解した。
動揺しながら、ずぶ濡れの我が子をおんぶして連れ帰る夫婦に対し、幼くも罪悪感を感じている自分がいた。
何の罪の意識なのか、
目の前で溺れる友に名前を呼ばれてもことができなかったことにか
年上の自分の不注意だと感じたのか
それ以降、その女の子と会うことも遊ぶことも無くなったので顔は思い出せない。
手に持っていた道具を放り投げ、長靴でこちらに走ってくる夫婦の姿だけが、スローモーションの様に今も脳裏に焼き付いている。
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